2022/04/30 13:45

機械構造の精密さと物理的な規則的運動

メカニカルの分かりやすく、奥深く難しい
ミシンのレストアです


まずは完成状態、外見は小綺麗く内部は超綺麗


まずは、分解前に各部クランク、カム、メタル部の遊び(ガタ)を確認

ミシンの基本運動の 針、天秤、釜、送り、これらの運動を
針の上死点を0度、下死点を180度を基準で細かく度数を書き出します

360度で全ての運動が完結し、その運動の繰り返し
単純な針の上下運動の間にクランクに変形カムなどを同時進行
複雑な運動が組み合わさりメカ好きにはたまりませんね!!

カメラやエンジンは常に一定状態で変わるとしたら温度くらいでしょうか
ミシンは糸のテンションも組み合わさるので、より安定にが難しいですね
取りあえず、少し中身の分解掃除です!やるぞぉ~!!!!


針、押さえ、釜、下巻きの分解
消耗あるパーツはドナー数台からピックアップします
スプリングの腰、メタル同士の当たりとかでの磨耗、あとボルトとか色々...


まだ+ボルトが発明される前の時代モノですから-ボルトのみの締め付けですね
なのでトルクに応じて、さまざまな太さ、長さ、形の違うモノ
1台に100本以上は使われていると思います
しかも、その部分のほとんどが専用のボルト、混乱は避けれませんね
10種類のマイナスドライバー達、全て活躍します
合わない物でやると、ボルトも工具も駄目になりますからね
いい仕事は、道具をこまめに使いこなすことですわ~


生地押さえと針の上下運動を決める部品など



一部ボルト類、一度の本締めで張りは出ます
ネジ山はブラスブラシでブラッシング、しっかり張り取ってミラー仕上げまで


送り歯の山は高いので現状で


すべり板を真鍮で製作、爪かきの楕円穴も忠実に再現

板バネも0,6mm厚の真鍮板で加工

2mmのタップでネジ山を加工

板バネは左右2mmとび出す仕上がりで完成
アンティークな品にもう一つゴージャス感をプラスなパーツ作制です



こちらの拡大鏡、1960年代モノ
行きつけのアンティークショップで見つけてまして
ドーナツの蛍光灯、スターターグローの無い時代です
レギュレーター通電長押しでの点灯 お気に入りです
刻印の読み取りには欠かせないです
ソゲラ取りにも100%の実績です!




ポイントの釜爪は鋭く念入りに



一通り磨き上げ☆



セットされてた米国製のボビンケース、なんかイイです
糸道の鏡面、ケース側面も常に下糸が撫で上がるのでここも鏡面に



釜、送り歯をセット



針の上下クランクで基準の0度に




ここは、かき爪が滑るところ、爪溝ができてたのでフラットにそして滑らかに
先端削ると巻き量が減ってしまうので慎重にすりすり、ここはグリスupでOKです



下巻きのオーバーホール、歯車裏の変形カム
このやわらかいハート型のカムでレベルワインダーが左右に動く仕組み
打刻ミスもなんか時代の味があるって感じ


3本のスプリング仕込んで完成



コミカルな運動、メカメカしいのがいいです
9分巻きでロック上がり下巻き完了



上糸テンションの調子板は、現行の新品はと比べオリジナルの方が
遥かに金属質がいいです、その他の部品も同じ事
なるべくオリジナルの金属部品を磨いて使い続けるのが、この子達の為にもいいですね



生地押さえのレバー上げるとカチッと調子板が開放する音、これもいい~






ミシン台は杉と檜で3段重ねカラーリングはウレタン系のオークで
29mmのフォスナービット、7mm程で底止め
留めのネジもマイナスでやりたかったけど
中々、同サイズの入手は難しく断念、オイルかけてガス焼きして
取りあえずヤレた感じは出せてますかね?
ヒンジは鉄に銅メッキ、今ではクロームメッキが主流なんで
こんな渋くヤレた感じにはならないですからね



各箇所調整しまして試し縫い、厚手のタオル4枚重ね




上糸8番、下糸20番、針19号 3mm厚のクロームレザーに
送り1,5mm~5,0mmまで問題なくサクサクです
基本、縫いの仕上がりがミシンの仕上がりレベルなんで合格作品です

これから作り上げるのもこれと同じ作業です
あたりまえのつもりでやってます、まだまだこれからも深く追求していきます!!